前回の記事「REGZAサーバー D-M430改造計画 ~ファン騒音対策(その1)~」の続きである。
前回の記事で、「次は『更に良いファンを探す』のではなく違う手を考えることにした」と書いたが、私の考えた「次の手」は以下の2案である。
- 天板に穴を開けて、大きなファンを取り付ける
- 1番の熱源である内蔵ハードディスクを外出しにした上で、静音ファンに交換する
ファンの音がうるさいのは、4cmという小型ファンのため回転数を上げざるを得ないためであり、PCケースのファンでは標準の12cmであれば、より低回転でよく、また、天板にファンを付ければ、排熱効率も上がるハズである。
しかし、残念ながら、私には天板に穴を開ける技術も道具もなく、2番目の案でいくことにした。
前回同様、実際に実行する前に、現状の内部の温度を測定しておく。
前回は、ハードディスク表面の温度を測ったが、今回は、電源近くの温度を測っておくことにした。
測定個所(前面と端から7cmの天板の辺り)
測定結果は以下となった。
意外にも、前回測ったハードディスク表面の温度より2℃ほど高い。多分、前回のハードディスクの温度測定部位が最高温部ではなかったからと思われる。
次に、改造に必要な部品を紹介する。
1.SATA延長ケーブル
SATAを本体の外まで延長するケーブルで、私の知る限り、アイネックスが長さ15cm、カモンと変換名人が50cmを製造している。今回の目的では 15cmでは短いので、変換名人のケーブルを購入した。(必ず オス-メス ケーブルを購入すること)
問題は、このケーブルをどこから本体の外に出すかであるが ・・・
D-M430の背面の両端の角には、プラスチックのカバーを取り付ける空間があるが、そこの金属部分を金ノコで切って穴を開ける方法が、一番簡単で外観への影響が少なそうと考えた。
切断ヵ所
作業前に、切り屑が回路に落ちないように養生
100均の金ノコで切断後
切断部を曲げてケーブルの通路を確保
なお、切断面には錆止めとしてグリースを塗っておいた。
2.ファン
前回の件(前回の記事参照)に懲りたのと、今回は熱源は取り除いたという認識なので、風量には拘らず静音重視でいくことにした。40mm角での売れ筋は全て10mm厚で
などである。この中で騒音の公称値が一番低いのは CFZ-4010LA であるが、これらの値は必ずしもアテにならないので、今回は、最も回転数が低く、スリーブベアリングで静音が期待できる SY124010Lを購入した。
まずは、単独での騒音を測ってみた。
結果を前回のものと合わせて記載する。
取扱 |
型番 |
電流(mA) |
音量(db) |
ワイドワーク |
PAAD14020BL |
30.5 |
31~32 |
標準付属 |
AUB0412HD |
65 |
31~32 |
秋月電子 |
1608KL-04W-B59 |
107.6 |
37 |
サイズ |
SY124010L |
32.6 |
30 |
db値ではあまり差がないようにみえるが、体感上は違いが明らかで SY124010L はほぼ無音である。
これならいけそうである。
なお、電源コネクタの形が合わず加工が必要なのは、どのファンでも同じである。(SY124010L は2pinであるがコネクタサイズが合わない。)
また、実際に装着しようとして判ったのだが、通常ファンは4隅をネジで固定するのであるが、D-M430の場合は、2隅のみネジで固定し、他の2隅の穴には筐体のウラの突起が挿さるようになっている。ところが、SY124010Lは10mm厚のためか、4隅の穴のサイズが標準ファンの AUB0412HD やワイドワークの PAAD14020BL に比べて小さいため、突起が奥まで入らず密着できない。
そこで、2隅の穴を電動ドリルで広げることにした。
問題の突起
加工後(千石で買ったコードの接続と穴径拡張)
3.外付けハードディスクケース
ハードディスクを裸で稼働させるわけにはいかないので何らかのケースが必要であるが、市販の外付けケースで、SATAのコネクタをそのまま挿せるものはない。
そこで私が候補として選んだのが、ORICO社のホットスワップ用ケース 1105SSである。
背面のSATAのコネクタ
これは、本来はPCケースの5インチベイに取り付けるものなのだが、
- SATAのコネクタで接続可能
- 単独で使用しても問題ない外観
- 電源ボタンやアクセスランプ付き
- ファンはないが放熱も悪くなさそう
ということで、今回の目的にピッタリである。
早速、購入して接続してみたのだが ・・・
D-M430の電源を入れてもハードディスクを認識せず立ち上がらない。
どうも 1105SS はホットスワップできるように、何らかの回路が組み込まれており、それが阻害しているようだ。(後で、この1105SS をPCに組み込んで確認してみたが、ホットスワップを含め問題なく機能した。)
【2015年12月31日追記】
記事「余剰部品を活用した ~ Orico 1105SS と AREA TTH Quattro」にも書いたが、1105SS 自体がホットスワップ用の特別な機能を備えているわけではないのでは、と思い始めている。
こうなると、使えるケースの条件としては、ハードディスクに直接SATAコネクタが挿せることとなるが、そうなるとケースというよりも置台に近いものにならざるを得ない。
そこで次に購入したのが、グリーンハウスのシリコンハードディスクケース GH-CA-HD35K である。
これは、柔らかいシリコン製で、ケースというよりもカバーに近いが、
- SATAケーブルを直接挿せる
- 完全ではないが、ほこり防止にはなる
- 放熱はまずまず(ほとんど裸族だし)
ということで今回の目的には使えそうだ。
ハードディスクを入れたところ
ウラ(下)面
SATAコネクタ
これで全ての準備は完了である。
早速、ハードディスクの外出し作業を行う。
まず、ハードディスクを取り外し、ファンを交換する。ネジはホームセンターで購入したものを使用。
なお、最初に、ファンを完全に止めて(電源を接続せずに)稼働した時の温度を測定しようとしたが、ファン用電源に電流が流れていないと、異常を検知しすぐに停止してしまった(電源などのLEDが4回点滅を繰り返す状態)。
これなら、今後、ファンが故障したまま気付かずに使用するといったことはなさそうだ。
延長ケーブルを本体のSATAのコネクタに接続し、反対側を外に引き出す。
本体のコネクタ部はグラグラする感じであるが仕方がない。
切断面と接触するところは、保護のためケーブルにテープを巻いている。
また、ケーブルの動きが本体のSATAコネクタ部になるべく伝わらないように、出口のところでケーブルタイで固定した。(ある程度の自由度を残さないと、後で天板が取り付けられないので注意)
外側のSATAコネクタにハードディスクを接続して完成。
(写真の白いケーブルは内部温度測定用の一時的なもの)
電源を入れると何事もなかったように録画を開始した。
騒音は激減し、ハードディスクの音以外は、ファンの風切り音らしきものが少し聞こえる程度である。前回紹介したスマホのアプリ「騒音測定器」で、本体の前で騒音した結果(下記)もそれを裏付けるものとなった。
- 標準ファン使用時: 3cm前 45db、 10cm前 42db
- 今回の対策後: 3cm前 35db、 10cm前 34db
最も気になっていたのが、ケーブルを延長したことでノイズが発生し、動作が不安定になるのではないかということであったが、この記事をアップした時点で既に2週間使っているが、特に問題は発生していない。
さて、内部温度であるが、外気温 22℃で 42℃、外気温 20℃で 40℃ と、対策前と変わらないという結果になった。(下がると思ったが、そうはならなかった。ハードディスク以外にも熱源があるようだ。)
これで、とりあえず騒音対策は完了とする。
なお、自分でやる場合は全て自己責任でよろしく。
では。
【2016年7月18日追記】
このD-M430が故障した。
興味のある方は「REGZA全録サーバ D-M430改造機が故障した」へ。
【2023年1月2日追記】
上記の故障の原因であるが、最後から2枚目の写真でもわかるように、ケーブルが背面の通気口をふさいだことで、写真の手前に写っているチューナーの排熱が不十分となり壊れたのではないかと想像している。
良い子は真似をしないように(笑)
【参考:D-M430に関する記事一覧(2023年1月2日時点)】
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