私の昔の計算機遍歴 特に CASIO FX-602PとFP1100
今回はすごく古い話である。かなり記憶が怪しいところもあるが、思いつくままに書いてみる。
私が大学に入ったのが 1978年で、それまではPCはおろか電卓すら家にはなかった。
そのため、私自身はバリバリの理系人間であったが、コンピュータに関する知識や興味は入学当初は皆無であった。ところが、ちょうど私が入学した年に、大学の教養部(最初の2年を当時はこう呼んでいた)に学生向けの大型計算機センタ(呼び名は情報処理教育センタ)が開設された。
当時の大型計算機センタはバッチ式(プログラムを投入すると順に処理され、しばらく待つとプリンタ室に計算結果が印字された用紙が出力されているタイプ)が主流であったが、教養部向けのものは最新式 の TSS(タイムシェアリングシステム)でキャラクタ端末を使って対話式で、プログラム編集、コンパイル、結果確認ができた。
開設1年目ということもあり、学生にはIDと課題が1つ与えられるだけで、あとは自分でプログラム言語を習得して課題の計算結果を提出すればよい、というざっくりとしたカリキュラムであった。使える言語は FORTRANのみであったが、すぐにハマり、自分の興味で使い倒したのは言うまでもない。
当時作ったのはオセロや立体四目並べなどのゲームであるが、コマを全てキャラクタで表し、人が1手入力するとちょうど1画面の行数分スクロールされて次の盤面が表示されるようにしていた。
その時はゲームプログラムの知識も経験もなかったので(というか今でもない)、2手先を全手(枝刈りもせず)試して評点の1番高い手を選択するという単純なものだったが、それでも初心者であれば暇つぶしの相手にはなるレベルであった。当時、プログラムを他のユーザにも公開していたのだが、結構自分の知らない学生が遊んでいるのを見かけることがあり、「これは俺が作ったんだァ 」と言いたくても言えない小心者の自分であった。
こんなことをしながら当分遊んでいたのだが、下宿には何もない状態。
当時プログラム電卓というものはあったが、比較的安いHP製のもので、はっきりした記憶はないが当時で5万円くらいしており貧乏学生には手がでなかった。 逆ポーランド式という、ちょっと癖のある入力方式で、「ステップ数が節約できる」というのが1つの売りだったと記憶している。
逆ポーランドやHP製プログラム電卓については、電卓博物館のページが詳しい。
そんな中、1979年3月に発売されたのが CASIOの 日本初のプログラム電卓 FX-502Pである。(説明や写真は、ウィキペディアや「とね日記/プログラム関数電卓ノスタルジア」を参照)
記憶できるステップ数は256で価格は 24,800円と決して安いわけではないが、速攻で大学生協に予約して(1ヶ月くらい待った記憶あり)買ってしまった。256ステップではせいぜい作れるゲームは3目並べ程度であるが、理系学生の日々のお供として愛用していた。
その2年後の1981年3月に発売されたのが上位機種の FX-602Pである。
基本機能は FX-502Pと同じだが、ステップ数が倍の 512になり、ドット表示になってアルファベットも表示可能というのが大きな違いであり、価格は 29,500円だった。私も速攻で、FX-502Pを友達に売り払い FX-602Pを購入した。
FX-602Pについては「FX-602P Page」が詳しい。
私が FX-602Pで作ったプログラムで一番の大作 がオセロである。
次に打てる手を全数探索し、その中で最も評点の高い手を選択するというプログラムだった。コマの配置は1列8コマを1つのメモリに記憶しており、1つのメモリは10桁の整数を記憶できるので、2~9桁目に 黒/白/空の場合評点 を1桁で表した数字、1, 10桁目に両端とわかる数字 を配置し、全部で10個のメモリで盤全体を表現していたと思う。
まあ、結構気合をいれてステップ数を節約しながら何とか512ステップに収めて作ったのだが・・・・
動かしてみると、次の1手が表示されるでに5分かかり、作ってはみたものの実は私も最後まで FX-602Pの相手をしたことがないという、とほほプログラムであった
一方、私が FX-502Pを買って浮かれていた年に NECが パーソナルコンピュータ PC-8001を発売し、それ以降私の友人仲間でも PC-8001、AppleのAppleⅡ、富士通のFM-8 を見かけるようになってきた。とは言え、メモリが16K(MでもGでもTでもなくキロバイト )しかない最安の PC-8001でも168,000円、加えてモニタが 10万以上で、プログラム電卓とは1桁違っておりとても手がでる代物ではなかった。
そんな状況の中、1982年にまたあの CASIOが発売したのが FP1100であり、64Kの広大な メモリ空間、640×200ドットの緻密な グラフィック表示で128,000円と当時としては衝撃価格であり、大学院に入り少し余裕がでてきたこともあり、またもや予約して買ってしまった。
10進演算や複数プログラムの保持など、電卓メーカならではのアイデアを投入した CASIO渾身の機種であったが、数か月後に 富士通のFM-7がほぼ同額で発売されるなどの影響もあり、マイナーのまま終わってしまった。
私も 外付けフロッピディスクユニット(定価30万、購入価格10万)、ミニプロッタプリンタ(3万くらい?)などを追加購入したり、汎用OSの走りである CP/Mなどで、2年間は楽しませてもらったが、残念ながらその後就職して数年で廃棄してしまった。
実は FX-602Pは、私のお仕事用の電卓としてずっと利用しており、36年近くなる今でも現役・完動である。
途中で関数電卓を買ったこともあったが、何となくフィーリングが合わず、FX-602Pを使い続けている。私の仕事柄、使用頻度は数日に1度くらいであるが、完全に寝かせずに時々使うというのが、長持ちの秘訣かもしれない。
では
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コメント
通りすがりの者です。
カシオのプログラム電卓FX-602P、僕も使っていました。
僕は某工業大学の電子工学科にいました。
大学入学が1978年なので同い年かな?
この電卓、値段が高かったですよね?
いろんな計算式を入力して遊んだものです。
音楽も作れましたよね?初期のファミコンみたいな音で(笑)
好きなバンドの間奏部分のエレキギターのパートを楽譜とにらめっこして打ち込んだりしてました。
テープレコーダーと接続させるアダプターみたいなのも別売りで買ったりして・・・
社会人になってからもこの電卓はずっと愛用しています。
二十歳代後半のある日デート中にこの電卓が安売りしているのを見て彼女にお金を借りて3台衝動買いしました。
売値は5千円以下だったと記憶しています。
大学当時は僕もFORTRAN学びました。
プログラムを打ち込むカードを箱単位で買って打ち間違えると修正がきかず苦労したのを覚えています。
僕の大学は他にCOBOLとPL/1も専門教科にあったように記憶しています。
今はこういう話と無縁の仕事をしていますが電卓はFX-602Pを使い続けています。
なんか懐かしかったので思わず3年近く前のブログにカキコしてしまいました。
投稿: ガイ | 2019年10月31日 (木) 06時28分
ガイさん
コメントいただき、ありがとうございました。
そうそう、私もアダプターを持っていました。それを使って、テープにプログラムを保存したり、音楽を鳴らすことも試しにやってみた記憶があります。
残念ながらアダプターは捨ててしまいました・・・
投稿: Toshi | 2019年11月 2日 (土) 21時25分