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2015年11月の記事

2015年11月22日 (日)

REGZAサーバー D-M430改造計画 ~ファン騒音対策(完結編)~

前回の記事「REGZAサーバー D-M430改造計画 ~ファン騒音対策(その1)~」の続きである。

前回の記事で、「次は『更に良いファンを探す』のではなく違う手を考えることにした」と書いたが、私の考えた「次の手」は以下の2案である。

  1. 天板に穴を開けて、大きなファンを取り付ける
  2. 1番の熱源である内蔵ハードディスクを外出しにした上で、静音ファンに交換する

ファンの音がうるさいのは、4cmという小型ファンのため回転数を上げざるを得ないためであり、PCケースのファンでは標準の12cmであれば、より低回転でよく、また、天板にファンを付ければ、排熱効率も上がるハズである。
しかし、残念ながら、私には天板に穴を開ける技術も道具もなく、2番目の案でいくことにした。

前回同様、実際に実行する前に、現状の内部の温度を測定しておく。

前回は、ハードディスク表面の温度を測ったが、今回は、電源近くの温度を測っておくことにした。

 測定個所(前面と端から7cmの天板の辺り
 430fan_019

測定結果は以下となった。
意外にも、前回測ったハードディスク表面の温度より2℃ほど高い。多分、前回のハードディスクの温度測定部位が最高温部ではなかったからと思われる。

 

430fan_020

次に、改造に必要な部品を紹介する。

1.SATA延長ケーブル

SATAを本体の外まで延長するケーブルで、私の知る限り、アイネックスが長さ15cm、カモン変換名人が50cmを製造している。今回の目的では 15cmでは短いので、変換名人のケーブルを購入した。(必ず オス-メス ケーブルを購入すること)

 430fan_001

問題は、このケーブルをどこから本体の外に出すかであるが ・・・
D-M430の背面の両端の角には、プラスチックのカバーを取り付ける空間があるが、そこの金属部分を金ノコで切って穴を開ける方法が、一番簡単で外観への影響が少なそうと考えた。

 切断ヵ所
 
430fan_015

 作業前に、切り屑が回路に落ちないように養生
 
430fan_016

 100均の金ノコで切断後
 
430fan_017

 切断部を曲げてケーブルの通路を確保
 
430fan_018 

なお、切断面には錆止めとしてグリースを塗っておいた。
 

2.ファン

前回の件(前回の記事参照)に懲りたのと、今回は熱源は取り除いたという認識なので、風量には拘らず静音重視でいくことにした。40mm角での売れ筋は全て10mm厚で

などである。この中で騒音の公称値が一番低いのは CFZ-4010LA であるが、これらの値は必ずしもアテにならないので、今回は、最も回転数が低く、スリーブベアリングで静音が期待できる SY124010Lを購入した。

 430fan_004 430fan_005

まずは、単独での騒音を測ってみた。

 430fan_008

結果を前回のものと合わせて記載する。

取扱 型番 電流(mA) 音量(db)
ワイドワーク PAAD14020BL 30.5 31~32
標準付属 AUB0412HD 65 31~32
秋月電子 1608KL-04W-B59 107.6 37
サイズ SY124010L 32.6 30

db値ではあまり差がないようにみえるが、体感上は違いが明らかで SY124010L はほぼ無音である。
これならいけそうである。

なお、電源コネクタの形が合わず加工が必要なのは、どのファンでも同じである。(SY124010L は2pinであるがコネクタサイズが合わない。)
また、実際に装着しようとして判ったのだが、通常ファンは4隅をネジで固定するのであるが、D-M430の場合は、2隅のみネジで固定し、他の2隅の穴には筐体のウラの突起が挿さるようになっている。ところが、SY124010Lは10mm厚のためか、4隅の穴のサイズが標準ファンの AUB0412HD やワイドワークの PAAD14020BL に比べて小さいため、突起が奥まで入らず密着できない。

そこで、2隅の穴を電動ドリルで広げることにした。

 問題の突起
 
430fan_006

 加工後(千石で買ったコードの接続と穴径拡張)
 
430fan_007

 
3.外付けハードディスクケース

ハードディスクを裸で稼働させるわけにはいかないので何らかのケースが必要であるが、市販の外付けケースで、SATAのコネクタをそのまま挿せるものはない。
そこで私が候補として選んだのが、ORICO社のホットスワップ用ケース 1105SSである。

 430fan_009

 背面のSATAのコネクタ
 430fan_010

これは、本来はPCケースの5インチベイに取り付けるものなのだが、

  • SATAのコネクタで接続可能
  • 単独で使用しても問題ない外観
  • 電源ボタンやアクセスランプ付き
  • ファンはないが放熱も悪くなさそう

ということで、今回の目的にピッタリである。

早速、購入して接続してみたのだが ・・・
D-M430の電源を入れてもハードディスクを認識せず立ち上がらない。

どうも 1105SS はホットスワップできるように、何らかの回路が組み込まれており、それが阻害しているようだ。(後で、この1105SS をPCに組み込んで確認してみたが、ホットスワップを含め問題なく機能した。)


【2015年12月31日追記】
記事「余剰部品を活用した ~ Orico 1105SS と AREA TTH Quattro」にも書いたが、1105SS 自体がホットスワップ用の特別な機能を備えているわけではないのでは、と思い始めている。

こうなると、使えるケースの条件としては、ハードディスクに直接SATAコネクタが挿せることとなるが、そうなるとケースというよりも置台に近いものにならざるを得ない。

そこで次に購入したのが、グリーンハウスのシリコンハードディスクケース GH-CA-HD35K である。

 430fan_011

これは、柔らかいシリコン製で、ケースというよりもカバーに近いが、

  • SATAケーブルを直接挿せる
  • 完全ではないが、ほこり防止にはなる
  • 放熱はまずまず(ほとんど裸族だし)

ということで今回の目的には使えそうだ。

 ハードディスクを入れたところ
 430fan_012

 ウラ(下)面
 
430fan_013

 SATAコネクタ
 
430fan_014

これで全ての準備は完了である。

早速、ハードディスクの外出し作業を行う。

まず、ハードディスクを取り外し、ファンを交換する。ネジはホームセンターで購入したものを使用。

 430fan_021

なお、最初に、ファンを完全に止めて(電源を接続せずに)稼働した時の温度を測定しようとしたが、ファン用電源に電流が流れていないと、異常を検知しすぐに停止してしまった(電源などのLEDが4回点滅を繰り返す状態)。
これなら、今後、ファンが故障したまま気付かずに使用するといったことはなさそうだ。

延長ケーブルを本体のSATAのコネクタに接続し、反対側を外に引き出す。
本体のコネクタ部はグラグラする感じであるが仕方がない。

 430fan_022

切断面と接触するところは、保護のためケーブルにテープを巻いている。
また、ケーブルの動きが本体のSATAコネクタ部になるべく伝わらないように、出口のところでケーブルタイで固定した。(ある程度の自由度を残さないと、後で天板が取り付けられないので注意)

 430fan_023

外側のSATAコネクタにハードディスクを接続して完成。
(写真の白いケーブルは内部温度測定用の一時的なもの)

 430fan_024

電源を入れると何事もなかったように録画を開始した。

騒音は激減し、ハードディスクの音以外は、ファンの風切り音らしきものが少し聞こえる程度である。前回紹介したスマホのアプリ「騒音測定器」で、本体の前で騒音した結果(下記)もそれを裏付けるものとなった。

  • 標準ファン使用時: 3cm前 45db、 10cm前 42db
  • 今回の対策後:   3cm前 35db、 10cm前 34db

最も気になっていたのが、ケーブルを延長したことでノイズが発生し、動作が不安定になるのではないかということであったが、この記事をアップした時点で既に2週間使っているが、特に問題は発生していない。

さて、内部温度であるが、外気温 22℃で 42℃、外気温 20℃で 40℃ と、対策前と変わらないという結果になった。(下がると思ったが、そうはならなかった。ハードディスク以外にも熱源があるようだ。)

これで、とりあえず騒音対策は完了とする。
なお、自分でやる場合は全て自己責任でよろしく。

では。
 

【2016年7月18日追記】
このD-M430が故障した。
興味のある方は「REGZA全録サーバ D-M430改造機が故障した」へ。

 
【2023年1月2日追記】
上記の故障の原因であるが、最後から2枚目の写真でもわかるように、ケーブルが背面の通気口をふさいだことで、写真の手前に写っているチューナーの排熱が不十分となり壊れたのではないかと想像している。
良い子は真似をしないように(笑)

 

【参考:D-M430に関する記事一覧(2023年1月2日時点)】

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2015年11月 3日 (火)

REGZAサーバー D-M430改造計画 ~ファン騒音対策(その1)~

前回の記事「REGZAサーバー D-M430改造計画 ~ハードディスク換装~」に引き続き、ファン騒音対策編である。

D-M430はコストパフォーマンスに優れた製品だと思うのだが、私にとって最大の誤算がファンがうるさいことである。そのおかげで、いまだにリビングには置けずに、テレビのない部屋で稼働させており、ざんまいプレイをはじめとしたほとんどの便利機能が使えていない。

そこでファンの交換にトライしてみた。

2ヶ所のネジをはずして取り外す。
 M430_101

電源ケーブルは2芯で、基板のコネクタに接続されているので上方に引き抜く。
 M430_102

M430_103

ファンは DELTA社の AUB0412HD という型番で、サイズは40×40×厚20mm、本体に「DC12V 0.16A」と記載されている。
 M430_104

DELTA社の軸流ファンの製品ページによると、「AUB」シリーズはプラスチック製の普及型DC軸流ファンで advanced Superflo ベアリングを使っていて 5万時間の長寿命が特徴らしい。詳細の仕様を調べようと、そのリンクの先から サイズが 40×40×厚20mmの唯一の製品「EUB0405MD」を見たのだが、電圧は 5V となっており別物だ。仕方がないので、DELTA社のサイトで サイズと電圧が同じものを検索してみたところ、ヒットするのは「EFB0412」シリーズだけで、その中で電流が 0.12Aと1番近い「EFB0412VHD」の仕様は

 回転数: 9000rpm、
 風量: 10.1CFM
 静圧: 10.57mmH2O
 寿命: 7万時間

とかなり高い値となっている。
これで、0.12Aなのだから、0.16AのAUB0412HDはもっと高出力ということなのだろうか?

今回は静音化が目的なので、冷却能力は現行より下げざるを得ないが、静音が売りの低回転のファンに替えて故障したのでは元も子もない。
そこで、まず現状の温度と騒音を測定しておくことにした。(ハードディスクは既に2TBに換装済みである。)

1.温度

5年くらい前に買った、激安デジタルマルチメーター DT860Cに温度測定機能があるのでこれを使って測ることにした。
厳密な精度は期待できないが、常温では正しい温度を表示しているし、温度の高いものを測ればそれなりの数字は示しているので、目安としては使えそうだ。

まず、測定個所を決める。
D-M430がほぼ1日稼働した後に天板を開け、指先で中の部品の温度を確認してみる。極端に高温になっている部品はなく、強いて言えばハードディスクの温度が一番高い。
そこで、ハードディスクの表面に温度測定用のプローブを貼り付けて元通りに組み立て、何日か温度を測ってみることにした。

M430_105

M430_106

 
数日間測った結果をグラフにしてみた。

M430_107

外気温30℃でもハードディスク温度は45℃くらいなので、もう少し冷却能力は下げてもよいと判断した。(絶対的な温度は当てにならないと言いながら、いつの間にか当てにしてしまっている ・・・・ 。 ただし、手で触っても全然熱くは感じない程度である。)

2.騒音

これは、スマホのアプリ「騒音測定器 : Sound Meter」で測定した。(これもキャリブレーションはしていないので、あくまでも参考程度)

M430_108

測定結果は以下の通り。

本体からの距離が 3cmの場合(左)と 10cmの場合(右)
 M430_109 M430_110

 
さて、次に換装するファン選びである。

まずサイズは40×40で決まりだが、このサイズのファンは10mm厚が多い。しかし、10mmの場合は、どうしても静圧(抵抗がある場合に空気を送り出す力)が弱くなるので今回は20mmとした。

ベアリングの種類にはスリーブ式とボール式があり、一般に前者は静音性、後者は耐久性で有利と言われているが、一般のスリーブ式の寿命は3万時間程度で24時間稼働で考えると3年程度しか持たない。気付かないうちに止まっていたということになれば泣くに泣けないので、今回はボール式を条件とした。
なお、電源ケーブルは、市販のファンはほとんど3芯なので、これは諦める(自分で2芯に加工する)しかない。

40×40×20で、入手しやすくボールベアリングのものと言うと、ほとんど選択肢がない。
ワイドワークさんが販売している AAVID社の LOWスピード(5000rpm)のPAAD14020BL か MIDDLEスピード(6000rpm)の PAAD14020BM で最後まで迷ったが、当初目的の静音化を優先して PAAD14020BL を買ってみた。(NTTぷららの通販サイトで 1,290円)

また、秋月電子の通販で、ミネベア松下の「1608KL-04W-B59」という、上記条件にも合致するファンを 150円   で発見。ググってみると、8500rpmとかなり高回転で静音性は期待できそうにないが、店頭でも同価格で売っていたので、あまりの安さにつられて、これも買ってみた。

PAAD14020BL
 M430_113

 M430_114

同梱されているネジの長さは35mm、電源ケーブルの長さは約32cmであった。

1608KL-04W-B59
M430_115

こちらは電源コード長25cmでネジは別売り。

ファンは揃ったので、とりあえず単独で回して騒音や風量を確認してみる。
12Vの直流電源が必要だが、今回は家にあった外付ハードディスクケースのACアダプタを活用することとし、そのためにDCコネクタ部品(ジャック)を購入した。
DCコネクタはサイズや極性が規格化されていないので、自分の持っているACアダプタに合うサイズのものを買う必要がある。通常よく使われているのが、外径/内径が、5.5/2.1mm と 3.5/1.3mmで、それぞれ秋葉原の秋月電子マルツで購入した。
それにリード線をハンダ付けして、熱収縮チューブで被膜して完成である。

左が5.5/2.1mm(40円)、右が3.5/1.3mm(66円)
 M430_116

 M430_117

そして実際にファンを回して電流と音量を測定。
風量を可視化するためにティッシュで吹き流しを作ってファン上部に貼ってみたが、これでは違いがよく判らず意味がなかった
騒音は横方向に10cm離れた地点で測定。ただし、スマホの置く向きを間違えて逆にしたので、小さめにでている。

 M430_118

 M430_119

なお、ファンの電源プラグに直接ワイヤジャンパを挿せばコネクタは不要である。

ワイヤジャンパ(秋月で100円くらいから。下の写真のものは 350円)
 M430_120

さて肝心の測定結果は以下となった。

取扱 型番 電流(mA) 音量(db)
ワイドワーク PAAD14020BL 30.5 31~32
標準付属 AUB0412HD 65 31~32
秋月電子 1608KL-04W-B59 107.6 37

まさかの、ワイドワーク PAAD14020BLは、標準付属のものと音量が変わらない結果に。
確かに、実際に聞いた感じでも違いがわからないレベルである。風量は標準の方が大きく感じるが、正直、この測定方法ではあまり差はわからない。
一方、秋月のは、明らかに風量、音量とも大きい。

ダメそうな予感がしてきたが、とりあえずワイドワークを実際に D-M430に装着してみることにした。

まずは、電源ケーブルの加工である。
上にも記したが、ファンの電源ケーブルのプラグ(凸側)は3芯、基板上のジャック(凹側)は2芯なので、ケーブルを2芯に加工する必要がある。と言っても、回転数検知用の黄色のケーブルを除いた2本の線を接続するだけなので、極性さえ間違わなければ難しいことはない。
問題は2芯のプラグをどうするかである。標準付属ファンのケーブルを切断して利用するのが確実だが、標準ファンに戻す可能性も高いのでそれはできない。
幸い、この形のプラグを千石電商で見つけたのでそれを使った。

千石の2階で発見(50円)
 M430_111

 M430_112

赤と黒、それぞれ同じ色のケーブルをハンダ付けして熱収縮チューブで被膜して完成。

 M430_121

 M430_122

D-M430に装着。
ネジはM3/30mmをホームセンタで購入して使用した。

 M430_123

実際に電源を入れてみると、ファンも回りだし、特に何事もなくスタート。
ただし、事前に測定した方法で騒音を測ってみると、やはり標準ファンの場合と変わらない。これでは意味がない

排気口に手を当ててみると、標準よりも排気の勢いが弱く感じる。とりあえず、数時間使ってみたところで温度を測定してみると、外気温 27℃で、ハードディスクの温度が50~51℃に。これは、標準ファンより7℃も高い
仕方なくここで諦め、ファンを標準に戻した。

ということで、今回の1回目のトライは失敗に終わった。

標準ファンが優れものなのか、ワードワークのファンがダメなのか、はたまた、たまたま軸音の大きいハズレ品を引いたのかよく判らないが、これに懲りて、次は「更に良いファンを探す」のではなく違う手を考えることにした。

アイデアはあるので、また、試したら報告する予定である。

では。

 

【2015年11月22日追記】
ファン騒音対策を完了したので興味のある方はココ

【参考:D-M430に関する記事一覧(2023年1月2日時点)】

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