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2014年1月 3日 (金)

ロジクールのマウス M505のマイクロスイッチを交換した

前回の記事「ロジクールのサポートはクールだった ~ M505の交換」で予告したように、M505のチャタリングを修理したのでその報告である。
マウスのチャタリングを修理する方法はweb上にいくつも上がっており、お手軽なものから順に挙げると以下の通りである。

  1. 電池を抜いてクリックを繰り返して静電気を除去する
  2. 専用対策ソフトを使う(例えば コレ
  3. マイクロスイッチのところにコンデンサを取り付ける
  4. マイクロスイッチを交換する

私の場合、1.はやってみたが効果はなかった。
そこで今回は、代替品を入手済みであることの気安さから、ダメもとと割り切って、難度は高いが完全な修復が期待できる4.の方法に挑戦してみることにした。

同じことをした人のリンクを参考までに貼っておく。

作業内容をひとことで言うと、マウスを分解し、中のマイクロスイッチを交換する作業となる。
マイクロスイッチというのは、その名の通り小型のスイッチ部品であり、マウスボタンをクリックをするとアクチュエータ部が押し込まれ、中央の端子と導通してクリックを認識する仕組みである。(下図参照)
チャタリングは、この接点が劣化して発生する場合がほとんどのようで、マイクロスイッチのカバーを外し、中の接点をヤスリがけして修理したツワモノ(→ Domo Arigato from Japan)もいるようだ。

マイクロスイッチの構造図(オムロンのサイトより転載)

Mouse_00000

交換作業には、はんだ付けが必要となるが、40年前の中学の技術家庭(古ゥ )の授業以来の気がする。ふとした気の迷いで2年くらい前に秋葉原の千石電商で買っておいた初心者セット(こて、吸取線、はんだのセット)がやっと日の目をみることになった

はんだセット(980円)
Mouse_00001 Mouse_00002

交換用のマイクロスイッチ(OMRON D2F-01Fが定番)は秋葉原の小林電機商会で1個120円くらいで購入した。

OMRON D2F-01F
Mouse_011

これで準備は万端、年末の掃除が一段落したところで作業に取り掛かった。

1.底面の4つのネジを外す

底面の4隅の三角のシートを先の尖ったもので丁寧に剥がす。するとねじ山(通常の+ネジ)が現れるので4つとも外す。

私は精密ドライバの先を使って剥がした
Mouse_001

全て剥がしたところ
Mouse_002

ちなみに、電池カバーを外したときに現れるトルクスネジ(星型ネジ)も、その特殊形状ゆえに外したい衝動に駆られるが()、今回の目的では外す必要なし。

トルクスネジ(外す場合は専用のドライバが必要)
Mouse_000

2.基板を取り外す

まずマウスの上面カバー(側面と一体)を外す。

外したところ
Mouse_003

黄色い四角の個所のコネクタを引き抜いて上面カバーと分離する。
更に、基板を固定している、黄色い丸印の3つのネジを外す。左端のネジを外すとホイールも外れるので一緒に取り外す。
なお、ホイールの両側にあるのが、今回交換するマイクロスイッチである。(白い部分がボタンになっている。)

外したホイール
Mouse_004

取り外した基板
Mouse_005

まだ、基板はマウス底面の受光部から出ている帯状のフィルム(フレキシブルプリント基板:以下FPCと記載)で繋がっているので、黄色い四角で囲んだコネクタ部分の黒いプラスチック部品を外して切り離す。

ここで注意。
詳細は後述するが、私はマイクロスイッチ交換後に、このFPCの接続に尋常ではないほどの時間を要した。(結局完全に元通りには復旧できなかった。) 
元に戻すことを意識して、現状をよく観察しながら慎重に外すことを強くお勧めする。

FPCを切り離したところ(右端がプラスチック部品)
Mouse_006

基板の表とウラ
Mouse_008
Mouse_007

3.マイクロスイッチを交換する

今回不具合が発生しているのは左クリックだけなので、左用のマイクロスイッチだけ交換する。
現行の型番はウワサ通りロジクール専用型番の OMRON D2FC-F-7N。 これを、OMRON D2F-01F に交換する。

交換対象のOMRON D2FC-F-7N
Mouse_009

3個所のアシで基板に固定されている
Mouse_010

ここからが、はんだこての登場である。冒頭に上げたYoutubeのリンクなどで、はんだ付けの基本は頭に入れ、脳内リハーサルでは完璧だったのだが ・・・

まず、今付いているはんだを吸取線で取り除こうとしたのだが ・・・ 何分こてを当てても全く吸取れない  
そもそも、はんだ自体が少ししか使われておらず、こての先端を直接当ててもなかなか溶けない状態で、ましてや吸取線を当てると熱が逃げて全く吸えない。
こての不良を疑って、試しにはんだセットに付属していた低融点はんだでテストしてみたところ、すぐに溶けて、あっという間に吸取れるので、どうも使われているはんだの融点が高く、このこてでは力不足のようだ。(「おまえの技術不足だろぅ」というツッコミは却下

かれこれ30分以上、はんだを溶かしながら、反対側からペンチで引っ張ることを繰り返して、やっと少しぐらつくようになった。最後は、ドライバをマイクロスイッチと基板の間に強引に差し込んで力ずくで抜き取り、半分塞がったままだった穴もキリの先端で押し広げた。

格闘のあと
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無残にも破壊されたマイクロスイッチ
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マイクロスイッチ交換後
Mouse_015

セットに付属していた低融点はんだを使って新しいマイクロスイッチをはんだ付けしたが、しっかりダンゴ状になってしまった。とても見せられるものではないので、ウラ側の写真は省略。
やはり技術不足は否めない ・・・

4.組立て

後は、分解したのと逆順に組立てればOK。
私も簡単に組立てを完了し、テストしてみたのだが ・・・ 何もしないのにカーソルが勝手に左下に移動し続ける。アセアセ 

最初はマイクロスイッチのはんだ不良を疑ったが、左右のクリックは問題ないようなので、受光部からの信号が正しく伝わってない可能性が高い。そうなると怪しいのは、底面の受光部と基板を繋ぐFPCの接続不良である。
先に前振りをしておいたが、私の場合、結局このFPCの接続に異常に時間がかかった。

FPCの先端には8本の細い金属面が露出しており、これを基板側の白いコネクタ内の8本の金属端子と接触した形で固定できれば良いのだが、何度やってもどこかが接触不良を起こしているようだ。(カーソルが左下に移動し続ける現象は、1本も接続できていない場合に発生する。)
FPCの先端を挿してから黒いプラスチック部品を押し込む手順で間違っていないと思うのだが、プラスチック部品がカチッと固定される感触がなく、FPCがすぐにゆるんで抜けてしまう感じだ。

かれこれ 2~30回は接続しなおした気がするが、ほとんどの場合がカーソルが勝手に左下に移動するパターンで、稀に飛び回るなど違う動きをするくらいで、1度もうまくいかない。
ほぼ諦めムードになったとき、最後にヤケクソでの接触不良対策として、厚みを持たせる目的で、FPC先端の金属面のウラ側にダイソーの養生テープ(仮止め用テープ)を貼ってみた。

養生テープ
Mouse_016

1枚ではうまく行かなかったので2枚重ねにしてプラスチック部品を無理やり押し込んでみたところ ・・・
テープの厚みのためプラスチック部品が全く挿さらない状態になってしまったが、テープの厚みでコネクタに固定され、なんと奇跡的にうまく接続できてしまった

接続部分
Mouse_0173

今となっては、何故これほど接続に苦しんだのかは判らない。もしかして、プラスチック部品が破損したか、他にも微細な部品があって分解時に紛失したのかも知れない。

いずれにせよ、結果よければ全てよし
今、テストも兼ねて、修理したM505を使ってこの記事を書いているが、今のところチャタリングの不具合も解消され快調である。

では。

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コメント

マイクロスイッチの交換でマウスのチャタリングが直ることを偶然ネットで知り、こちらの記事を大いに参考にさせて頂き、5年前に購入したV450 nanoを見事に復活させることが出来ました~!

V450は内部の構造が殆ど同じでとてもやり易かったです。

なお、FPCのコネクタに関して一点だけ申し上げますと、このコネクタは黒い部分の端を持ち上げて回転させ90度立てることで、FPCがリリースされる構造になっているようです。ですので、黒い部分を完全に取り外してしまうとコネクタそのものを壊してしまうことになるかと・・。記事の中でFPCの固定に大変苦労されたのもそのせいではないかと思われます。

いずれにしても、こちらの記事が大変参考になり、とても感謝しております。
有難うございました!

投稿: どんぐり | 2014年3月 4日 (火) 23時37分

どんぐり さん

Toshiです。

私の記事が役に立ったとのことで、私としてもうれしいです。

> このコネクタは黒い部分の端を持ち上げて回転させ90度立てることで、FPCがリリースされる構造になっているようです。

なるほど、どうりで元に戻らないハズだ
次に挑戦する場合は貴重な情報ですね。私の場合、ツメみたいなものが取れてしまっていたのかも知れません。

ありがとうございました。

投稿: Toshi | 2014年3月 9日 (日) 09時20分

M505のホイールが回らなくなって来たので、この記事の最初の方を参考にして分解した所、ホイールが外せたので、ホイールの中心部分に絡みついている大量のゴミを何とか取り除いて復活できました。
長年使って慣れてきたマウスが、再び快適に使えるようになり、大変感謝しています!

投稿: ねも | 2014年7月26日 (土) 01時58分

ねもさん

私の記事がお役にたてたようでうれしいです。

私も、M505の握った時の感触とかホイールの感覚が好きで、ずっと愛用しています。
※この記事で書いた赤いM505もまだ元気です。

投稿: Toshi | 2014年7月26日 (土) 22時08分

FPCケーブルを押さえる部品が無くなってますね。
あれはあまり外れるものではないのですが。

半田の吸取は、鉛量が多い物を足し盛りしてから
・吸い取り線を当てる
 か、
・端の端子にコテをあてながらスイッチを基盤から引っ張る(ちょっと浮く)
 同様に、逆の端に当てて引っ張る
 全体を引っ張りながら真ん中を引っ張る

 を繰り返して外すか、ですね。

投稿: とおりすがり | 2015年8月12日 (水) 09時56分

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