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2009年3月 1日 (日)

Excelの荒技(その2)とお奨めのPDF作成ソフト

今日は、Excelの荒技(その2)である。
前回予告したとおり、「複数シートでできたブックを1つの文書としてまとめて、割付印刷したり両面印刷する方法」について説明する。

これについては、この問題で困ったことのない人には何のことを言っているかわからないと思うので、最初に、問題の背景を簡単に説明する。
ご存知のように、Excelは何枚でもシートを作ることができるので、1つの文書を作成するのに、
表紙を1シート目、第一章を2シート目、・・・ 
といったように複数シートに分けて作成することがある。このような文書を印刷する時に、それぞれのシートを別々の用紙に印刷するのであれば問題ないのであるが、全てのシートをつなげて、割付印刷(これはプリンタによって 2in1 とか 集約印刷 とか名称が異なるが、要は1枚の用紙に複数ページ印刷する機能)や両面印刷しようとした場合に、単純に、

  • 複数シートを選択して印刷、または、印刷ダイアログで「ブック全体」を指定
  • 印刷ドライバの方で割付や両面指定

を設定しただけでは、

  • シートが分かれているところで、強制的に用紙も分かれる
  • 2シート目以降、割付や両面指定が全く無視され、1枚に片面1ページずつ印刷される

となり、ブックのページ数が多い場合に涙目になることがある。

この現象については、思い通りに印刷できるExcelファイルもあるので、やる方からしてみれば非常に不思議であるし、たまにwebの Q&Aサイトで同じような質問を見ることがあるが、「私の方ではできます。プリンタの設定は確認しましたか?」みたいな、質問した方から見れば「初心者扱いするな~」と叫びたくなるような回答をされていることも多い。

答えから先に言うと、要は、印刷しようとしている Excelファイルに依るのである。(後で説明する 方法1 のように、全シートのページ設定の「印刷品質」の内容を同一に揃えればこの問題は発生しない・・・多分。)

以下、「割付印刷したり両面印刷する方法」について、3つ説明する。それぞれ長所短所があるので、自分のニーズに合わせてうまく使い分けて欲しい。

以下に書いた方法は、web で見つけた情報を参考にして、限られた環境・時間・条件で自分で試してみた結果を記載している。従って、環境によって異なることもあるかもしれないし、抜けや間違いがあるかもしれないので、あらかじめ断っておく。なお、操作方法は WindowsXP を対象に書いている。

本来、これらの情報は、Microsoft がもっと提供しても良いと思うのだが、あまり見たことがない。
Microsoft については、「inside Windows」のような 書籍が出版され売れること自体が、会社として非常に恥ずべきことであると私は思うのであるが、そのような感性はないのだろうか?
また、Windows や Office についても、バージョンアップに投入している開発リソースが、おせっかい機能や単なる見栄えを良くするための機能に費やされ(その結果、全世界のPCのCPU/メモリリソースも費やされる)、肝心の「使い勝手を良くする」という方向とは真逆に向かっているような気がしてならない。
まあ、この点は、また機会があれば、1つの独立した話題として取り上げたいと思う。

方法1・・・Excel だけで済ませる(pdfを作成しない)方法

  1. 全シートで、「ページ設定」の「印刷品質」を同一の値に揃える。
    全シートの「印刷品質」の値をワンアクションで揃える方法はなく、各シートを個別に確認・設定するしかないが、通常「印刷品質」は同一の値になっているのでこのハードルは低いと思う。
  2. 「スタートメニュー」→「設定」→「プリンタとFAX」 で現れる画面で、「プリンタの追加」を行い、新しいプリンタ(今回印刷に使うプリンタ)を新規に登録する。
    追加したプリンタのアイコンを右クリック→「印刷設定」で、今回印刷したい割付や両面などの設定を行う。

    新規にプリンタを登録せずに既存のプリンタに対し、プリンタのアイコンを右クリック→「印刷設定」 で割付や両面などの設定をしてもよい。(ただし、印刷後に戻すのを忘れないように。) ただし、この方法を使う場合は、Excel文書を印刷する前に「印刷」ダイアログでそのプリンタを(一旦別のプリンタに変えてから)指定し直した方が良いようだ。(そうしないと、「印刷設定」が反映されない場合がある。)
    また、別の手として、新規にプリンタを登録せずに、「ファイル」→「ページ設定」→「オプション」 で 割付や両面などの設定を全シートに対して実施しても良いと推測されるが、私は試していない。この場合、シートの枚数だけ個別に実施する必要があり、全てのシートを選択してから1回だけ実施してもダメである。
      
  3. 通常の方法で印刷する。この時、プリンタを 2で作成したプリンタとする。

以下に述べる方法2と3は、一旦pdfファイルを作成しそれを印刷する方法なので、方法1に比べ、1つ余計に手間がかかる。
方法1も2も「印刷品質」を揃える手間は同じなので、方法1の手順2のプリンタ操作ができない場合や pdfを作る必要性がある場合を除けば、方法2を選ぶ理由はないように思う。

方法2・・・一旦、pdfを作成する方法(その1)

  1. 全シートで、「ページ設定」の「印刷品質」を同一の値に揃える。
    これは、方法1と同じである。
  2. 対象文書の pdfファイルを作成する。やり方は、通常の印刷と同様であるが、「印刷」ダイアログで、プリンタを pdf作成用仮想プリンタ(後述)とする。
  3. 2でできた pdfファイルを印刷する。通常のファイルなので、割付や両面など好みの設定が可能である。

方法1や2の欠点は、手順1で全シートの「印刷品質」を確認して揃える必要があることである。先に記述したように、実際上は大した手間ではないと思うが、そうでない場合は方法3となる。

方法3・・・一旦、pdfを作成する方法(その2)

この方法は、ひりさんのblog 「h8b 日記と雑記と Excelブックの印刷 [メモ]」 を大いに参考にさせていただいた。

  1. 対象文書の pdfファイルを作成する。やり方は、通常の印刷と同様であるが、「印刷」ダイアログで、プリンタを 「クセロPDF2」(クセロ社のフリーのpdf作成用仮想プリンタ(後述))とし、「ファイルへ出力」にチェックを入れて 「OK」ボタンを押す。

    Print_2

  2. 「出力先ファイル名」ウィンドウが開くので、そこに、作成するPDFファイル名をフルパスで指定して 「OK」ボタンを押す。

    入力例: c:\Document\文書.pdf

    Print2_2

    少し脱線するが、このウィンドウは、通常の「ファイルの保存ウィンドウ」と異なり、フォルダを選んだりすることができず、どのように入力すればよいのか非常にわかりにくい。Excelに何故こんなウィンドウが残っているのか理解に苦しむ。
    Microsoft については、・・・・(上で述べたので以下省略)

  3. 「名前をつけて保存」のウィンドウが開くので、適当なファイル名を入れて 「保存」ボタンを押す。これで、2で指定したファイル名で pdfファイルが作成される。3で指定したファイルは作成されないので無視する。

  4. 3でできた pdfファイルを印刷する。通常のファイルなので、割付や両面など好みの設定が可能である。

方法3の欠点は、私が試した限り「クセロPDF2」しか動作しないということである。Bullzip PDF Printer もダメである。(ファイルはできるが、PDF書式ではないようだ。) 
理由はよくわからないが、そもそも「ファイルへ出力」のチェックボックスの意味自体が、あまり公になっていないような気がするので、「クセロPDF2」でうまくいくことの方が例外的なのかも知れない。または、Bullzip PDF Printer はファイルの作成に Ghostscript を利用しているようなので、その辺りが関係しているのかも知れない。

【2009年3月12日修正】
なお、奇策っぽくはあるが、方法1と3を組み合わせて、pdfを介さず、かつ「印刷品質」も揃えなくてよい方法を見つけたので、「Excelの荒技(その3)」にアップした。

最後に、pdf作成用仮想プリンタ と pdf作成ソフトについて説明する。

pdfを作成するためのフリーソフトはたくさんあるが、ほとんどどれも、インストールすると専用のプリンタ が作成される。
対象ドキュメントを その「pdf作成用仮想プリンタ」を指定して印刷すると、pdfファイルが作成される仕組みだ。

私の今お奨めのソフトは、クセロPDF2Bullzip PDF Printer だ。
これらの詳しい紹介は、いつか別の機会で行いたいと思うが(多分、気が向けば・・・)、簡単に特長(私の印象)などを説明する。

【2010年1月10日追記】
残念ながら、クセロ社は2009年4月にアンテナハウス社に吸収されたので、現在では「クセロPDF2」のような pdfソフトはフリーでは提供されていない。

クセロPDF2 は、国産で安心感の高いソフトというイメージがある。
クセロ社は PDF 関連のソフトを数多く開発しており、一部は無料で配布しているので非常にありがたい。瞬間PDF ZERO という多機能のPDF加工ソフトも無料配布しており、これもなかなか便利である。私は、複数のpdfファイルを1つのファイルに結合する機能しか使ったことがないが、操作がシンプルで処理も速い。他の機能は、使ったことがないので説明できないが、イメージを掴んでもらうために画面をアップする。

Xelo_skpdf_3

なお、瞬間PDF ZERO をインストールすると自動的に クセロPDF2 もインストールされる。そのため、クセロPDF2 がインストール済みの場合、先にアンインストールしなければならないので、両方試すのであれば最初から 瞬間PDF ZERO だけをインストールすればよい。
なお、クセロ社のフリーソフト を動作させるためには、名前やメールアドレスをクセロ社のHPに登録してシリアル番号(ライセンスキーのようなもの)を取得する必要がある。また、使用中もWebブラウザに製品のご案内ページ(広告ページ)が表示される。そのためインターネットにつながる環境でないと動作しないので注意が必要だ。

Bullzip PDF Printer は私も最近インストールしたソフトだが、私的にはかなり気にいっている。そのポイントとしては、

  • PDFだけでなく、JPEGなどの画像ファイルとしての出力も可能
  • 既存PDFファイルの後ろに結合することが可能
  • 「スタートメニュー」→「Bullzip」→「PDF Printer」→「オプション」で各種設定のデフォルト値を設定できるので、PDF作成時に毎回設定しなおす必要がない

である。もちろん、インターネットにつながっている必要はない。
詳しい説明は以下の Gigazine のサイトを参照いただきたい。

PDFファイルを作成可能なフリーソフト「BullZip PDF Printer」

それでは、また。

【2010年1月10日追記】

  1. 修正や追記で読みにくくなったので、それらを本文に取り込んだ
  2. Bullzip PDF Printer の オプション画面の表示項目が文字化けする場合は、以下の記事が参考になる。
    札幌 パソコン サポート データ復旧 修理 フリースカイブログ: Bullzip PDF Printerの文字化けについて 
  3. 気付いている人も多いと思うが念のため。
    Bullzip PDF Printer の「既存PDFファイルの後ろに結合することが可能」という機能は重要で、これを使えば、複数のファイルを1つの pdfファイルにまとめることができる。すなわち、複数のファイルをつなげて 2in1 や 両面で印刷できるということである。

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